近代の俳句の試験対策!「伝え合う言葉」教育出版3 partⅡ ~大学受験・逆転合格の武田塾 三軒茶屋校
こんにちは!
日本初!「授業をしない」世田谷区の塾・予備校 三軒茶屋校です!
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続きです。
①春風や闘志いだきて丘にたつ…高浜虚子(たかはま きょし) ②赤い椿白い椿と落ちにけり…河東碧梧桐(かわとう へきとうご) ③ゆさゆさと大枝ゆるる桜かな…村上鬼城(むらかみ きじょう) ④ひつぱれる糸まつすぐや甲虫…高野素十(たかの すじゅう) ⑤万緑の中や吾子の歯生え初むる…中村草田男(なかむら くさたお) ⑥噴水のしぶけり四方に風の街…石田波郷(いしだ はきょう) ⑦啄木鳥や落葉をいそぐ牧の木々…水原秋桜子(みずはら しゅうおうし) ⑧をりとりてはらりとおもきすすきかな…飯田蛇笏(いいだ だこつ) ⑨燕はやかへりて山河音もなし…加藤楸邨(かとう しゅうそん) ⑩いくたびも雪の深さを尋ねけり…正岡子規(まさおか しき) ⑪風雪にたわむアンテナの声を聴く…山口誓子(やまぐち せいし) ⑫咳の子のなぞなぞ遊びきりもなや…中村汀女(なかむら ていじょ) ⑬夕立やお地蔵さんもわたしもずぶぬれ…種田山頭火(たねだ さんとうか) ⑭こんなよい月を一人で見て寝る…尾崎芳斉(おざき ほうさい)
⑨ ■情景 燕がいなくなった静かな山や川
■季語 燕(夏)
■切れ字 なし
■何句切れか(初句切れ・二句切れ・三句切れ) 句切れなし
■意味 燕は早くも夏の終わりが近づくとともに南の国へ帰っていった。 今はあの愛すべき燕たちのさえずりを聞くこともなく、 ただ山河は静けさの中にある。
■ポイント 燕が帰ってしまったさびしさ
⑩ いくたびも雪の深さを尋ねけり 何度も何度も雪が降った積もり具合を家人に聞いた事よ。 「けり」切れ字 句切れ無し
病床の子規が家人に雪のつもり具合を聞いている。
⑪ 山口誓子は明治生まれで、句作の主要な期間は昭和初期から1960年代付近までであること。 高浜虚子の弟子であり、紆余曲折あるものの基本的には「写生」の句風であること。 まずこの二点が分かれば、「アンテナ」がテレビアンテナではないことが分かります。また「アンテナの声」がアンテナを通じて送られてくるテレビの音声でないことは明らかです。 これは、大きなアンテナに激しく風雪が吹き付けてたわみ、風切り音をたてているのがあたかもアンテナの声のように聞こえるという情景を詠んだ句です。具体的には、阿蘇山測候所(現・阿蘇山特別地域気象観測所)を訪れた時の句とされています。 ■季語:風雪(冬) ■中間切れ
⑫ 風邪をひいてせきをする我が子を、ふとんに寝かせてそばで相手をしてやると、 子どもは退屈しのぎに、なぞなぞ遊びをしかけてきりがない。きりがないとうんざり しながらも、私は甘える子どもの遊びに付き合ってやる。 【季語・咳】【季節・冬】【切れ字・や】 【咳の子】・・・【咳(をする)子・「の」=格助詞・状態を表す】 【な】形容詞・「なし」語幹 【や】切れ字・終助詞
⑬ 夕立やお地蔵さんもわたしもずぶぬれ 夕立が激しい事よ。お地蔵さまも私もずぶぬれで一人寂しい事よ。 自由律俳句 「や」切れ字 初句切れ 季語無し
⑭ こんなよい月を一人で見て寝る 自由律俳句 季語「月」(秋) 句切れ無し 空にはまん丸のきれいな月だというのに一人で過ごす私は一人で見て「いいつきだね」とつぶやき一人で寝なくてはならないのだ。
練習問題です!
これまでの知識を活かして、解いてみよう!
応用が入っているので、ちょっと難しめです!
◆ 次の問いに答えなさい。
ただし、右に×のついているものは、教科書には載っていない俳句です。それらについては、自分なりに考えて解いてみましょう!
Aゆさゆさと大枝ゆるる桜かな B赤い椿白い椿と落ちにけり C映りたるつつじに緋鯉現われし×
D山清水ささやくままに聞き入りぬ× E諸手さし入れ泉にうなづき水握る× F噴水のしぶけり四方に風の街
G啄木鳥や落ち葉を急ぐ牧の木々 H燕早帰りて山河音もなし I小鳥来て何やら楽しいもの忘れ×
Jいくたびも雪の深さを尋ねけり K風雪にたわむアンテナの声を聴く L靴紐を結ぶ間も来る雪つぶて×
M夕立やお地蔵さんもわたしもずぶぬれ Nこんなよい月を一人で見て寝る
《設問》 1 俳句の定型は五七五であるが、B・Eのような定型のくずれを何というか。 2 また、M・Nのような定型を無視し季語も特に定めない俳句を何というか。 3 C・Gの俳句は「季重ね」の句であるが、季語は何か。 4 Hの季語を書け。(言い切りの形にするのが適切) 5 A・B・G・Mの「切れ字」を書き抜け。 6 A・B・G・Mの句切れを答えよ。 7 Fの句切れを答えよ。 8 J・M・Nの作者名を漢字で書け。 9 D・G・Kに共通して用いられている表現技法を答えよ。 10 F・G・L(I・M)に共通して用いられている表現技法を答えよ。 11 Cのつつじはどこに写っているのか。 12 Eの作者は誰の面影にうなづいたのか。またその人物の著作を一つ挙げよ。 13 「四方」の読みと意味を答えよ。 14 Lの句は何をしている情景を描いたものか。 15 Aの句から擬態語を書き抜け。 16 季節ごとの風物や季語をまとめた本を何というか。漢字で書け。
【解答例と解説】
1 字余り(破調) 字余りと字足らずを破調という。定型を意識して作られたが字数が合わないのが破調。定型を全く意識していないのが自由律俳句。だから、自由律俳句を破調(字余り・字足らず)とは言わない。
2 自由律俳句(無季自由律) 自由律俳句は字数(音数)が自由であるというだけでなく、季語もあえて 入れない。季節感を感じさせる言葉があっても季語として指摘するのは誤り。
3 Cつつじ G啄木鳥(きつつき) 俳句に季語と受け取れそうな言葉が重なって使われているとき、「季重ね・季重なり」という。どちらをその句の季語とするかは、切れ字がつく方を感動の中心とするか、もしくは、句意からとらえるしかない。この設問の場合、Cつつじ(春)緋鯉(夏)/G啄木鳥(秋)落ち葉(冬)となっているが、教科書の配列が春夏秋冬の順になっていることも考え合わせて、Cはつつじ G啄木鳥とする。なお、「啄」という字はワープロでは点がついてないが、答案には旧字につく点をつけ忘れないこと。「季重ね」を教えてくれない学校も相当数あるので、学校の先生の説明を良く聞いておこう。
4 燕帰る(言い切りの形にするのが適切) 「燕早帰りて」は×。残念ながら季語の指摘は学校の先生の指導がまちま ちで、抜き出して正解とする学校もあれば、きちんと言い切りにしたものを正解とする学校もある。「燕」だけでは春の季語。「燕帰る」で秋の季語。燕は渡り鳥でしたね。
5 Aかな Bけり Gや Mや 俳句に使われる切れ字の代表は「や・かな・けり」の三つ。句切れは感動の中心を表す働きと句切れを作って句のリズムを生み出す働きがある。切れ字をあえて訳せば、「~ダナァ」という感動を表す。
6 A句切れなし B句切れなし G初句切れ M初句切れ 「や・かな・けり」などの切れ字の直後で句切れが起きる。途中に句切れのないものを「句切れなし」という。
7 F中間切れ 二句目の途中で句切れがあるので中間切れという。中間切れの句は高校入試でも次の句が使われることがある。 万緑の中や/吾子の歯生え初むる 中村草田男 ばんりょくの なかや/あこのは はえそむる 季語 万緑 (夏) 中間切れ
8 J正岡子規 M種田山頭火 N尾崎放哉 正岡子規は夏目漱石の友人でもあり、肺結核の病床にありながら創作活動を続けた。彼は江戸時代から俳諧と呼ばれた五七五の文芸形式を「俳句」と名づけた名づけ親である。著書に『寒山落木』『歌詠みに与ふる書』があるので覚えておこう。 種田山頭火は放浪の俳人。尾崎放哉とともに自由律俳句を作った代表として記憶しよう。
9 D・G・K(共通) 擬人法
10 F・G・L(I・M)(共通)体言止め
Iものわすれ・Mずぶぬれ を学校で体言止めと習わなかった場合はF・G・Lを正解とする。これも学校の先生の指導によってズレがある問題。
11 (池の)水面 つつじが水面に映っているところへ水中に緋鯉が現われた、その鮮やかな色彩の重なりを感じて欲しい。
12 松尾芭蕉 奥の細道など。 Eの俳句はかなり補足説明が必要である。江戸時代に、松尾芭蕉が『奥の細道』の旅を終え、琵琶湖のほとりの「幻住庵(げんじゅうあん)」という小さな庵(いおり)にしばらく住んだことがあった。その庵の近くには泉が湧いていて、芭蕉が使った泉は今でも残っているそうだ。その場所を訪れた作者の中村草田男が、俳句の大先輩である芭蕉の面影が、その泉に映っているように思われて思わず両手を泉の水に差し入れたというお話。
13 読み(よも) 意味(あちこち・いろいろな方向)
14 雪合戦
15 ゆさゆさと 擬態語は様子を表す言葉。擬声語・擬音語が音や鳴き声を表す言葉。
16 歳時記(さいじき)
【補足】 Kのアンテナは一般家庭のテレビアンテナのことではない。九州の阿蘇山山頂にある火山観測所のアンテナだとされる。そこに激しい風雪が吹きつけた情景でなのである。そのほか、俳句の作者名にふり仮名をつけさせる問題(例)河東碧梧桐「かわひがしへきごとう」であるとか、自分で好きな句を選んで情景を説明し鑑賞文を書けという問題も良く出るのでよく復習しておこう。
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